東京顕微鏡専門歯科医院 Advanced Care Denta Office

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摂食嚥下障害の検査・評価

「摂食機能療法」とは

185点(1日につき)

注 摂食機能障害を有する患者に対して、30分以上行った場合に限り、1ヶ月に4回を限度として算定する。ただし、治療開始日から起算して3ヶ月以内の患者については1日につき算定できる。

摂食機能療法は、摂食機能障害を有する患者に対して、個々の患者の症状に対応した診療計画書に基づき、医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師、歯科衛生士、理学療法士又は作業療法士が、1回につき30分以上訓練指導を行った場合に限り算定する。なお、摂食機能障害者とは発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳血管疾患等による後遺症により摂食機能に障害があるものをいう。

医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師又は歯科衛生士が行う嚥下訓練は摂食機能療法として算定できる。

」東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU

喉頭蓋、声門、被裂軟骨の3つが閉鎖することで食べ物が気管に入らないよう誤嚥を防いでいる。コリコリの貝のお寿司とバニラアイスを食べたとき、食べ方はなぜ違うのか。それは舌尖で食べ物の厚み固さを見極めるから。口蓋後壁と舌で食べ物を潰す。口蓋ぜっきゅうには温度や嚥下反射のセンサーがある。飲み込めと脳に指令が伝わる。また咀嚼しながら嚥下もしている。

 

呼吸と嚥下の協調が重要

嚥下咽頭期:呼吸の停止

呼吸停止時間:健康成人 0.3~1.0秒

健康な人の7割は呼息して嚥下して呼息する。

 

舌の動き

舌が口蓋垂壁に当たって舌の中央がくぼんで、そのくぼみに食物を集める。無歯顎の場合は舌縁を歯槽堤で噛んでしまったり、舌が横滑りしてしまい、食べ物を集めることが難しい。舌の筋力が低下した場合も難しい。嚥下した後、口の中のどこに食べ物が残るのかは重要。

 

摂食嚥下障害

舌以外の口にも原因がある

1口唇閉鎖不全

2舌運動不全

3下顎閉鎖不全

4口腔清掃状態の不良

 

嚥下補助床 Swalloaid

咀嚼運動の目的はない。義歯とは異なる。嚥下時の下顎の安定と舌機能を援助する。

 

 

摂食嚥下障害の診断、評価の流れ

主訴、病歴

身体所見、神経学的所見

スクリーニングテスト

↓必要ならば…

嚥下造影検査、内視鏡検査

診断、治療方針立案

評価(身体、口腔内、実際の食事、機器)

指導方針を立てる(食環境、食内容、機能訓練)

摂食機能療法の実施

 

 

摂食嚥下障害を疑う症状や徴候

むせや咳

食後の痰

食物の好みの変化

体重減少

食事によって声がかわる

食べ方の変化

食事時間がかかり

食事で疲れる

 

摂食嚥下障害に関わる情報収集

1いつからか

2どのような状態か

3痰や咳はでるか

4発熱や呼吸状態

5食事、栄養摂取について

食べた後強く咳や息を吐けるか、口の中はきれいか、唾液の状態飲み込めるか等

 

摂食嚥下障害の評価

1身体の状態

原疾患、自立度、既往歴、服薬状況、身長体重、食欲、栄養状態、可動域、麻痺、不随意運動

 

2口腔内の評価

残存歯、義歯、清掃状態、口腔乾燥、食物残留、摂食嚥下関連器官の感覚、運動

3食事の評価

姿勢、環境、食形態、摂取量、摂取時間など

 

評価1 食物を取り込むまで

・座れるか(自分で保持できる?体の傾き程度、頸部の角度、足の裏)

・食物を認識できるか

・適切量すくえるか

・口へ運べるか

 

評価2 食物の取り込みから食塊形成

・取り込めるか(口唇、下顎をふさぎながらとりこんでいるか、どこに入れるか、どんどんつめこんでないか)

・呑み込みやすく作りかえられるか(食物の固さに応じて動くか、まとめられるか、嚥下後に残ってないか)

 

評価3 口からのどへ送り込みできるか

口唇・下顎を塞いでいるか、舌で運べるか

 

評価4 のみ込めるか

下顎は閉じているか、のど仏は動いているか、高齢者はのど仏の位置が下がるので嚥下時に食道入口部の拡張が少なくなり、声門閉鎖が弱くなるので誤嚥を生じる可能性が高くなる

 

評価5 嚥下後の口腔内に食物が残っていないか

 

評価6 食事中、食後の変化

痰がらみ

痰中の食物の混在

食事中のせき

食物中のむせ

むせの誘因

いつむせるか

食事による声・呼吸音の変化

食後の姿勢

 

経口摂取へ移行するためには

1全身状態:痰量増加や発熱がない

2意識レベル:覚醒できている JCS1ケタ以上

3呼吸の安定:浅く頻回なら実施しない

4嚥下反射:唾液嚥下できる

5口腔内:強い口腔乾燥や痰やプラークの多量の付着がない

 

スクリーニングテストの考え方

スクリーニングテストを行う際には、それぞれのテストは大まかな状態は把握できるが細かいところはわからないということに留意する。また、あるテストで状態が不良であると判断された場合にも、別のテストではよい結果がでるという可能性もある。いくつかのテストを行ってみると、唾液の嚥下は困難であるが食物の誤嚥は心配なさそうなことも想像される。一方、自発的な嚥下が可能であっても不顕性誤嚥の可能性が高い場合もあるため、その他の検査や症状を複合的にみていく。

 

スクリーニング検査

反復唾液嚥下テスト

・水飲みテスト

・改訂水飲みテスト

・フードテスト

・ブルーダイテスト(気管切開している場合のテスト)

・頸部聴診法 など

 

反復唾液嚥下テスト

誤嚥の有無のスクリーニング法

誤嚥のある人のほとんどをスクリーニングできる。かわりに誤嚥の無い人も引っかかってしまう。

判定:30秒間に3回以上の反復が正常の目安。2回以下の有所見者にはその他のスクリーニング方法、身体所見(食事を見る)と総合して判断することが必要。

 

反復唾液嚥下テスト 方法

東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU

被験者には頸部をやや前屈した座位姿勢の基本をとってもらう。喉頭隆起および舌骨部にそれぞれ指腹をあて、唾液を連続して嚥下するよう指示する。喉頭隆起および舌骨は嚥下運動に伴い指腹を乗り越えて 上前方に移動し元の位置に戻るというこの運動は30秒間観察して触診で、確認できた回数を観察値とする。※喉頭隆起および舌骨は優しく触れる程度、強く押さない。

 

改訂水飲みテスト 方法

冷水を3ml口腔底(気にしなくていい)に注ぎ、嚥下を命じる。可能ならさらに2回の嚥下運動を追加させる。最も悪い症状を評価する。評点が4以上なら最大2回繰り返し、最も悪い評点を記載する。使うのは水と指だけ!!

 

フードテスト 方法

茶さじ大(約4g)のグチャグチャにしたプッチンプリン®を普段通りに食べてもらう。可能ならさらに2回の嚥下運動を追加させる。評点が4以上なら最大2回繰り返し、最も悪い評点を記載する。嚥下後の口腔内を確認。口腔内に残留があれば発声してもらい嗄声がないか確認する。

 

頸部聴診法

食塊を嚥下する際に咽頭部で生じる嚥下音(何の音なのかまだ解明されていない)ならびに嚥下前後の呼吸音を頸部より聴診し、嚥下音の性状や長さ及び呼吸音の性状や発生するタイミングを聴取して主に咽頭相における嚥下障害を判定する方法である。

 

正常な呼吸音

健常者は通常5mlの水分を1回の嚥下で飲みきることができると言われている。頸部聴診すると呼吸停止のあとに0.8秒以内よ力強い音として聞こえる。

「ハー、ごっくん、ハー」 正常なキレイな音とはちがう音がしている、これを聞き分けるだけのスクリーニング検査。喉頭蓋や、梨状窩に貯留が残っているとキレイではないブルブル震えるような曇っている音が聴こえてくる。

 

頸部聴診の手技(指示に従うこもの可能な患者さんの場合)

ハフィング、強い咳嗽による排出

発生を伴わないほぼ一定した強さの呼気産生(呼吸音聴取)

試料の嚥下(嚥下音聴取)

呼気の産生(呼吸音聴取、嚥下前との比較)

指示に従うことのできない患者さんは、咽頭貯留物を吸引し、自発的な呼吸で比較する。

 

頸部聴診法 での嚥下音の判定

泡立ち音、むせに伴う音があると誤嚥が疑われる

またVFで以下の所見があると長い、弱い、複数回の音が確認された。

1舌による送り込みの障害

2咽頭収縮の減弱

3喉頭挙上障害

4食道入口部の弛緩障害

 

頸部聴診での呼吸音の判定

湿性音、嗽音、液体振動音、

咽頭部の貯留、喉頭侵入、誤嚥が疑われる。

 

嚥下器官運動検査

1呼吸機能(息を吸ってとめて合図で大きな咳をしてもらう)

2頸部の可動性(首を自由に動かせるか、前屈、後屈、傾斜、回旋)

3顎運動(大きく口を開けることができるか、30mm以上を5秒以上)

4舌運動(前方挺出、舌尖挙上、舌尖口角接触、舌後方部挙上)

5口唇・頬運動(頬吸い込み、頬膨らまし共に5秒以上)

6喉頭挙上(空嚥下、1横指以上5秒以上。これはあまりやらない)

7発声持続・共鳴(発声持続10秒以上)

8構音(パ、タ、カすべて3回以上)

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