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内分泌代謝学

内分泌系はホルモンを介して細胞間の情報伝達を行います。ホルモンはホルモン分泌細胞で生成・分泌された後、標的細胞に受容体(レセプター)を通じて作用します。ホルモンは情報のメッセンジャーです。古典的にみれば「内分泌」とはホルモンが血流に乗って運ばれて離れた標的細胞に作用する意味でしたが、現在では広く解釈して分泌された局所で作用する場合や神経シナプス伝達も内分泌に含まれます。

免疫系も内分泌系に似ています。そこでは免疫担当細胞(リンパ球、マクロファージ等)から分泌されるインターフェロンやインターロイキンなど「サイトカイン」を通じて免疫担当細胞間で情報伝達を行って免疫反応を構成しています。サイトカインはいわば免疫系のホルモンといえます。免疫系の生産するインターロイキンや内分泌系のACTH分泌を刺激します。このように内分泌系、神経系、免疫系は相互にcross-talkを行っていると考えられています。また、脂肪細胞、血液細胞、肝臓の細胞、胃の細胞、血管壁の細胞までサイトカインないしホルモンを産生する事が明らかになりました。内分泌学とは、生物個体を構成するすべての細胞や有機物が情報交換を行いながら、繊細なネットワークを構築している世界、つまり生物個体としてのホメオスタシスを保証している大自然の仕組みを開示する学問です。

これからの内分泌学においては、上記に図に示しているパラクリンの考えたかがとても重要となってきます。cross-talkは複雑であり、その例として視床下部があります。視床下部ではPVN(室傍核)領域に神経系、サイトカイン系、心的因子、ACTHコルチゾール系、バソプレシン系が他のニューロンを介して、あるいはパラクリン作用にて複雑に交流しています。CRHは視床下部室傍核で生成されて、CRHニューロンにおける伝達物質であるとともに正中隆起に貯えられたものは、血流中に入ると下垂体におけるACTH分泌細胞のレセプターを刺激してACTHを分泌させます。

CRHの生成・分泌を刺激する因子は多数あり、ストレス(心的、肉体的)カテコールアミン、セロトニン、ヒスタミン、レプチン、サイトカインがあります。CRHと特に密な関係にあるのが、図に示したようにやはりPVNのニューロンに含まれるAVP(バソプレシン)です。AVPは下垂体のACTH分泌を自ら刺激するとともに、CRHのACTH分泌作用もcross-talkとして増強します。AVPはPVNでのcross-talkに参加するとともに主に下垂体後葉から血中へ分泌されます。視床下部におけるAVP生成は体液の喪失、血圧低下などで亢進します。

CRH作用の亢進はACTHコルチゾール系を刺激する砂ようとは別に生物個体の社会での行動や態度(食欲不振、不安、活動性低下)にも影響を与えます。図に示したようにCRH生成を抑制する薬として、ベンゾジアゼピン系薬剤やグルココルチロイドがあります。臨床的にクッシング症候群では食欲亢進がありますがこれはCRHを抑制する結果であると考える事ができます。また、グルココルチロイドは多幸感を生じる事も知られています。このように現在判明しているだけでも視床下部における情報のcross-talkはかなり複雑であります。

内分泌代謝・内分泌代謝疾患とは

私たちの体の中では、種々の作用を持つ物質が上手く調和して全身の臓器に作用し、人間の生命を維持し、生体の恒常性(ホメオスタシス)や正常な代謝機能を保っています。これらの正常な機能を保つのに必要な体の機構を内分泌代謝といいます。内分泌代謝作用を示す物質をホルモンと呼びます。ホルモンには種々の物質があり、またホルモンが体の中で作用を発揮する時もその作用の方法は多様であります。
ホルモンを作って分泌する臓器を内分泌臓器と呼びます。脳視床下部、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、副腎、卵巣、精巣、心臓、肝臓、腎臓などの多くの臓器があります。このように内分泌臓器は全身、各部位に存在します。一方、これまでホルモンを分泌していないと思われていた臓器が実は内分泌臓器であることが最近の研究で発見されこの事がきっかけになり、臨床の診断や治療の応用に役立つようになることがあります。例えば、脂肪滴を貯蔵するだけの機能しかないと思われていた脂肪組織があげられ、この脂肪組織も実はホルモンを作ったり分泌する内分泌臓器の仲間であったことがわかりました。ホルモンには種々の物質があり、またホルモンが体の中で作用を発揮する時も、 その作用の方法は多様です。内分泌代謝疾患とは、ホルモンを作る内分泌臓器の障害により、ホルモン分泌の異常(増加又は低下)が起こった状態、またはそのホルモンが作用する対象臓器の異常(ホルモン受容体やホルモン情報伝達の障害)により、ホルモン作用の異常が起こった状態をいいます。 内分泌代謝疾患の中には糖尿病高脂血症のように患者数の多い疾患や、これまで原因不明の精神疾患として放置されてきた疾患まで様々な疾患が含まれます。

内分泌臓器に対応する主な疾患名

1.  脳視床下部・下垂体 (低身長症、先端巨大症、乳汁漏出症など)

2.  甲状腺 (バセドウ病、甲状腺機能低下症など)

3.  副甲状腺 (高カルシウム血症、骨粗しょう症など)

4.  膵臓 (糖尿病など)

5.  副腎 (高血圧症、低血圧症など)

6.  卵巣・精巣 (無月経、不妊など)

7.  心臓 (心不全など)

8 . 肝臓 (糖代謝異常など)

9.  腎臓 (貧血など)

10. 脂肪 (肥満症、糖脂質異常など)

栄養シグナル

外界から栄養を摂取し、代謝して生きるというのはヒト・動物全てに共通する営みです。日常の言葉の中でも「食べていく」と「生きていく」はほぼ同義で使われるくらいに、食べることは生きることとされています。しかし、「食べる」ことから「生きる」こと、すなわち生命活動につなげていくプロセスは実際には気が遠くなるほどの多くの過程から成り立っています。またそこには複雑な調節機構があります。それにも関わらず哺乳類だけとってみても、草食動物もいれば肉食動物もいて雑食動物もいるという実に様々な栄養環境に置かれている中で、体の構造や組成は大きくみれば種を超えて保たれ大差はありません。これはとても不思議なことです。一方、数年〜10数年というスパンで見ていくと過食が肥満や糖尿病、動脈硬化といったいわゆる生活習慣病につながることもあります。また、カロリー制限は酵母・線虫・昆虫・哺乳類に共通して寿命延長効果があるとされています。しかし、これらの 事実についても「過食とは何か…?」「そもそも適正なカロリーとは?」「最も健康的な食事とは?」と考えていくとどんどん分からないことだらけになっていきます。このように謎に満ちた生命と栄養との関係がいま、生命科学・医学の研究課題として改めて大きな注目を集めはじめています。単なるエネルギー源として、または生体の構成物質としてとらえられていた栄養の情報物質としての新たな側面が質量分析などの技術革新を背景に次々と明らかにされつつあります。また、同時にそれらの情報がどのように処理されていくのか、その情報処理系についても、ゲノム科学の進歩や様々な個体分析技術の発展と通じて、新たな知識が積み上がっています。栄養とは私たちが生きていく上で必要不可欠なものであり、日々様々な酵素により代謝され消費されていく「消耗品」というイメージがあります。しかし実際にはただ単に代謝・消費されていく対象というわけではなく、その摂取や代謝は細やかな調節を受けていて、その調節に際して、栄養・代謝物そのものが「情報」としての意味を持ちつつ、細胞・臓器内外でやりとりされています。「情報物質としての栄養」という観点から近年注目されている栄養・代謝物シグナル分子の一覧が下記の表です。なかでもクエン酸回路(TCA回路)の中間代謝産物や補酵素のなかには、ヒストンのアセチル化やメチル化修飾にかかわる分子が多く含まれ、エネルギー代謝とエピゲノム情報・遺伝子発現調節の密接な関係が注目されてきました。また、糖・エネルギー代謝のみにとどまらず、アミノ酸代謝や脂質代謝産物のなかにも新たな情報伝達機能・作用点がみえてきたものが数多く存在します。さらに、代謝経路そのものも、細胞質内やミトコンドリア内だけでなく、核内での解糖系の役割が注目されるなど、様々な角度から栄養代謝と遺伝子発現調節の新たな関係が明らかにされつつあります。また、いわゆる三代栄養素(炭水化物・脂肪・たんぱく質)以外にもビタミン・ミネラルなど「情報物質」としての側面を合わせ持つ栄養素は数多く存在しています。

概日時計システム

現代のような飽食の時代は、人類進化の歴史のなかでもごく最近の事です。多くの野生動物がそうでsるように、私たち人間も決して豊かとは言えない栄養環境のなかで生きてきました。体内に取り込んだ栄養を可能な限り効率よくエネルギーとして利用し、さらに余剰のエネルギーを効果的に貯蔵する必要があったと考えられます。これには概日時計も重要な役割を担っています。例えば、昼行性の生物が外的な時間的情報から隔離された環境下に置かれたとしても、概日時計は私たち人間が昼間は活動して夜間は休息してエネルギーを蓄える事を知っているかのように、体内において自律的な概日リズムを生みだしています。これにより、活動時間である昼間は効率よくエネルギーを生産する事で身体能力を最大限に発揮する事が可能となり、休息時間である夜間は余剰のエネルギーを食べ物に恵まれないかもしれない明日のために効率的に貯蔵する事が可能になります。機械時計がそうであるように、概日時計にも位相(時刻)の調節機能が存在しています。主には、太陽光のような強照度光によって、位相が前進あるいは後退することで概日時計は地球の自転と同調を保っています。一方、栄養摂取にも光と同様な作用があることがわかっています。つまり、習慣的な摂食時刻が変化した場合、その刺激によって概日時計の位相も変化します。ただ、光刺激とは異なり、この影響は組織特異的です。具体的には、体内に吸収された栄養素やそれに応答して血中に放出された内分泌因子によって肝臓や脂肪などのエネルギー代謝にかかわる臓器の概日位相が素早く調節されることがわかってきました。この位相同調はエネルギーだけでなく、2型糖尿病のような代謝異常を防ぐ働きもあります。

概日時計システムの全体像

バクテリアからヒトにいたるまで、地球上のほとんどの生物は地球の自転周期に合わせた体内時計(概日時計)をもっていて、この時計は行動生理機能において焼く24時間のリズムをもたらします。概日時計を持つことは地球上の生存において有利です。例えば、夜が近づけば自律的に体は休息の準備に入り、朝が近づけば目を覚ます前から、起床後の活動に備えて体がウォームアップされます。しかし地球の自転に同調しないで生活する現代人では、概日時計はその存在意義を失っているばかりか、身体のパフォーマンスの低下や疾患リスクの原因にもなっています。

地球の自転と同調してこそ、概日時計は意味を成します。つまり、概日時計の位相は調節される必要がありますが、これには光刺激が最も重要なシグナルとなります。光刺激は網膜に存在する視細胞や網膜神経節細胞で受容され、視神経を介して間脳視床下部の視交叉に密着する神経核に伝達されます。この直径1ミリにも満たない神経核は視交叉上核とよばれていて、全身の概日リズムを統合する中枢として機能しています。光刺激は視交叉上核の位相調節を行うことで、地球の自転から脱同調を防いでいます。光の効果はとても重要で、光の効果は入力タイミングで異なっています。この性質を「位相応対性」とよびます。ヒトのような昼行性生物の場合、起床前後の光入力は概日時計を進めるのに対し、就寝前後の光入力は概日時計を遅らせてしまいます。