東京顕微鏡専門歯科医院 Advanced Care Denta Office

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感染症基礎講座「 感染制御に役立つ栄養療法の力 」

術後感染症の発生要因

1治療 (大侵襲手術、抗菌薬、不適切な治療など)

2菌・毒素(数、種類、毒素、薬剤耐性など)

3宿主(年齢、併存疾患、悪性疾患、低栄養、肥満など)

 

低栄養症候群(malnutrition syndrome)

低栄養に関連して生じる病態(筋力低下、免疫機能低下、創傷治癒遅延、易感染性、臓器不全など)

低栄養症候群になる原因として飢餓(マラスムス型)、慢性疾患、急性炎症などがあります。

 

ニュートリー株式会社より引用

 

血清アルブミン値と術後合併症の関係

血清アルブミン値が3.5g/dlをきると合併症が発症しやすい

サルコペニアは術後感染症の高リスク因子

 

内臓脂肪量は合併症発生率に相関する

肥満、低栄養どちらでも良くない

 

栄養不良が外科治療に及ぼす影響

栄養不良→免疫不全→感染性合併症→敗血症、多臓器不全→在院日数延長、医療費の増大、合併症率、死亡率上昇

 

外科侵襲に伴う主な代謝変化

1骨格筋量減少→サルコペニア

2インスリン抵抗性の増悪による血糖値の上昇

 

SSI手術部位感染(Surgical Site Infection)

発生率は消化器外科で約10%

 

SSI対策の重要性

1医療合併症

2入院期間の延長

3医療コストの増大

4予後の悪化

※米国では1感染につき患者一人あたりやく1万ドルの医療費が発生するといわれている

 

術後感染性合併症を防止するためにできること

1術前(低栄養、肥満対策、宿主免疫能の強化、併存疾患の管理)

2術中(低侵襲手術の導入、出血量と手術時間の減少、手術手技と器具の進歩)感染対策・体温保持

3術後(液性メディエーターのコントロール、血糖コントロール、低栄養と免疫不全の改善)高濃度酸素が有効との報告あり

 

ERASプログラムの概念

入院前カウンセリング、腸管の前処置なし、絶食見直し水分、炭水化物負荷、前投薬なし、胃管留置なし、硬膜外麻酔・鎮痛、短時間作用型麻酔薬、輸血塩分の過剰を避ける、小切開ドレーン留置なし、体温管理温風式保温、離床促進パス、経口麻薬/NSAID非使用、悪心嘔吐予防、腸動促進、カテーテル早期抜去、周術期経口栄養、予後順守状態の調査→ERAS術後回復の強化

 

SSIに対する国際ガイドライン

栄養管理に関する記述は少ない

1CDCガイドライン2017 

「血糖管理」

2SSI予防のWHO国際ガイドライン2016

「強化栄養サポート」大手術を受ける低体重の患者のSSIを予防するために多種類の栄養素が強化された栄養剤の経口または経腸投与を推奨する。

「周術期の強化血糖管理プロトコル」SSIを減少させるために、成人の外科手術患者には糖尿病の有無に関わらず周術期の強化血糖管理プロトコルを行う。

 

術前栄養不良患者への術前栄養介入はSSIを減少させる

術前栄養改善に免疫栄養剤を使用

 

免疫栄養療法~免疫調整栄養剤の経口・経腸投与~

肝組織中EPA濃度は肝切除後SSI発生と関連する

魚油は重度術後感染症の抑制ができる

 

SSI予防に有効な血糖管理

目標血糖値 150mg/dl前後

 

周術期栄養管理としての栄養バンドル管理

(バンドル…より良いケア をより確実に行う、個別に行うよりも「束」で実践すると予後の改善が期待できるという概念)

包括的栄養管理栄養バンドル→早期・免疫経腸栄養、強化血糖管理、高タンパク量投与、魚油由来脂肪酸

栄養バンドル管理は高度侵襲肝胆膵手術後の合併症を抑制する

重症患者の栄養管理についてはこちら

 

TAKE HOME MESSAGE

1栄養不良は術後感染のリスクである

2適切な栄養介入はSSIを予防する

3強化栄養サポート・血糖管理を実践する

4栄養バンドル管理は有望である

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