東京顕微鏡専門歯科医院

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東京顕微鏡専門歯科衛生士YU

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咬合・咀嚼

咀嚼における歯の役割は、食物の補足(捕らえる)、咬断(噛み切る)、粉砕(嚙み砕く)、臼磨(磨りつぶす)があり、ヒトの場合、補足は狭い意味で摂食という用語が該当します。補足と咬断は主に前歯が担い、その目的に合うように前歯は切縁をもち、上下顎が鋏状の咬合関係を呈しています。犬歯は俗に「糸切歯」と呼ばれ、糸を切るのに適している他に、長くて太い歯根をもつことから、肉などの硬めの食品を噛み切るときに力を発揮する歯であるといえます。一方臼歯は、咬頭が対合歯の咬合面にある陥凹に嵌合する「  臼の関係を」となるように、粉砕や臼磨に適した形態を持っています。臼歯の咬頭の傾斜や隆線、副隆線は食物を粉砕、臼磨しやすくする働きがあります。また、溝は粉砕された食物が咬合面に停滞することなく咬合面から流れ出るのを助け、咀嚼の効率を高めるとともに、歯に適度な咀嚼圧が加わるのを防ぐ役割を担っています。咬合面の溝や隣接面部の鼓形空隙部を通って食物が咬合面から流れ出る通路をスピルウェイ(spillway)と呼んでいます。臼歯の咬頭は部位によって近心、遠心あるいは頬側、舌側(口蓋側)という呼び方の他に、機能的な意味をもたせて、機能咬頭(粉砕咬頭)、非機能咬頭(剪断咬頭)という呼び方があります。前者は上顎では舌側(口蓋側)咬頭が、下顎では頬側咬頭が該当します。これらは咬合力を支持するという意味から支持咬頭とも呼ばれています。一方後者では、上顎では頬側咬頭、下顎では舌側咬頭が該当しますが、それぞれ上記の剪断のほかに圧搾空間の形成などにおいて十分に機能的な役割を担っているので、非機能咬頭という呼び方は適切ではありません。

 

安定した歯列を維持するために、また大きな咬合力を発揮するために、あるいは食片圧入を防いで歯間乳頭を保護するために、適切な隣接面間の接触関係が存在しなければなりません。隣在歯同士の接触を隣接接触点あるいは単に接触点といい、一般にはコンタクトと呼んでいます。

また隣接面に関連する歯(歯列)の要素として、鼓形空隙があります。これは咬合面方向からみて、接触点を挟んだ頬側と舌側の歯間空隙の形態が、また頬舌方向からみて上部と下部の歯間空隙の形態が鼓の形に似ていることからこのような名前がつけられました。前者を上下的鼓形空隙、後者を頬舌的鼓形空隙といいます。鼓形空隙の形態は、接触点の位置や辺縁隆線の高さの違いなどによって影響を受け、咀嚼中の食片圧入や食物の流路つまり、スピルウェイにも関連します。また、口腔ケアの面からいえば自浄作用や歯間部の清掃性にも直接かかわり、不適切な場合には、歯肉炎、歯周炎あるいはう蝕発生の原因となります。

摂食・嚥下

嚥下障害dysphagiaという言葉は「食べ物が飲み込めなくなること」をさしています。最近は一般に食物が口から食べられなくなることを、広く摂食・嚥下とよぶことが多いです。嚥下障害がおこると水分や栄養がとれなくなり、脱水や低栄養がおこり、全身状態の悪化をまねきます。さらに誤嚥が肺炎などの呼吸器障害につながります。それに伴い体力は低下し、ますます嚥下機能の低下をきたすという悪循環となります。

〈摂食・嚥下の神経支配〉嚥下は脳の延髄にある嚥下中枢でコントロールされています。延髄より上部の大脳や脳幹部は嚥下を強化するはたらきがあります。意識レベルが低下している時は脳幹に広く分布する脳幹網様体の活動が不活発であるため、嚥下機能も低下すると考えられています。嚥下の準備にあたる咀嚼や食塊形成には、顔面神経、三叉神経、舌下神経が関与しています。また、食欲を感じるのは大脳の視床下部であり、食物を認知するのも大脳の高次機能が関与しています。嚥下には複雑な神経制御がなされているため、ちょっとした乱れで障害が起こります。このことは嚥下障害の原因が多岐にわたることと深く関係しています。一方、嚥下は大変強い運動であり、訓練によって障害を克服できることも多いです。

 

〈嚥下も呼吸、発声〉嚥下で使われる口腔・咽頭は呼吸と発声にも利用されています。このため嚥下時は呼吸が一瞬停止しなければならず、これは「嚥下性の無呼吸」とよばれています。この嚥下性無呼吸は通常、呼気相で生じ、呼吸の開始も呼気相でおこります。しかし、嚥下障害になると、吸気→嚥下→吸気のような異常パターンがおこり、誤嚥につながりやすくなることも知られています。また、人間は高度な言語能力を獲得するにつれて、複雑な獲得発声をするために喉頭が下降したと考えられています。動物や新生児では喉頭が高い位置にあり、鼻腔に飛び出るような格好になっていて、誤嚥はおこりにくい。しかし、言葉を話すという人間固有の能力を獲得することによって、われわれは誤嚥の危険を同時にもつことになったと考えられています。生まれたての乳児はまだ喉頭が高い位置にあり誤嚥しにくいが、言葉をしゃべるようになるにつれて喉頭が下がり誤嚥の危険が出てきます。ご高齢になると咽頭はさらに下降して、ますます嚥下が不利になると考えられています。

〈加齢と摂食・嚥下機能〉加齢とともに嚥下障害がおこりやすくなります。原因としては生理的な加齢現象に加えて、種々の疾患の存在、薬剤の影響などが関与しており、単純ではありません。

・虫歯などで歯が弱くなり、咀嚼力が低下する

・唾液の性状(粘性、組成など)、量の変化

・粘膜の知覚、味覚の変化(低下)

・口腔、咽頭、食道など嚥下筋の通って筋力低下

・喉頭が解剖学的に下降し、嚥下反射時に喉頭挙上距離が大きくなる

・注意力、集中力の低下

〈摂食・嚥下障害の原因〉原因には色々考えられるが、頻度としては脳卒中によるものが一番多いといわれています。腫瘍や炎症によって飲み込むときに使う舌や咽頭の構造そのものが障害されている場合は、器質的原因による嚥下障害とよばれます。構造物に問題がなくてもそれを動かす神経などに原因がある場合は機能的原因とされます。また、心理的な原因も重要です。高齢者はもともと筋力低下などがあり、嚥下の予備力がないために、発熱などの体力消耗、全身疾患で嚥下障害が容易に顕在化します。

〈嚥下障害と誤嚥性肺炎〉重度の嚥下障害で、唾液も嚥下できない状態でも肺炎にならないこともあれば、常食を食べていても誤嚥性肺炎を繰り返す場合があります。嚥下障害も誤嚥、誤嚥性肺炎はイコールではありません。肺炎の発症には多くの因子が関与し、その中の重要な要因のひとつに嚥下障害があると考えるべきです。免疫力や気道防御力が高ければ、嚥下障害があっても肺炎の発症を抑えられる一方、全身が衰弱して気道防御力が低下すれば軽い嚥下障害て容易に肺炎につながりやすくなります。

味覚

味覚と嗅覚は、化学物質の分子が口腔や鼻腔の感覚受容器と接触して生じることから、化学感覚といわれます。私たちは味覚と嗅覚神経系の働きによって化学物質の持つ味やにおいの強さを評価し、質を認識します。食べ物を味わうとき、味覚だけでなく、咀嚼された食物塊からにおい物質が揮発し、後鼻孔から嗅上皮に作用することにより嗅覚が起こり、両感覚が混じり合って風味を作ります。化学感覚に伴って生じる快・不快の情緒は、個体の生命保持に必要な食物や環境を選択する行動の動機となります。ヒト以外の動物では、嗅覚は遠隔地にある食物の探索や種族保存行動にも重要な役割を果たしているいわれています。

 

日常経験する多様な味の感覚は、基本となる味(塩味、酸味、甘味、苦味)の混合によって生じるとされ、これらを4基本味といいます。4基本味のほかにうま味が国際的に認知されていて特有の受容器も見いだされています。味物質の閾値は通常、一定量の溶液に口に含んで測定する全口腔法によって決められます。ある味溶液が水と違うと感じられる濃度を検知閾といいます。また、初めて味刺激の本来の味がした閾値を認知閾値といいます。全口腔法では舌運動や唾液分泌の個人差が測定値に影響を及ぼします。これに比べて、単一茸状乳頭を刺激する滴下法は信頼度が高く、全口腔法によるものよりずっと高いとされています。滴下法に比べ、全口腔法では刺激面積内の舌乳頭が多く、これら乳頭からの味信号に空間的加重が起こるためと考えられています。

同じ方法で測定しても味覚の閾値には個人差が大きいです。苦味を呈するPTCの場合、個人差は特に著しく、閾値の出現頻度は二峰性となります。閾値が高いグループは味盲とよばれます。しかし、PTC味盲者は苦味の代表であるキニーネに対する閾値は正常です。PTC味盲は単純・劣勢遺伝で白人で約30%、日本人で8から15%の出現率です。PTCの代わりにプロピルチオウラシルが用いられることもあります。苦味に対する閾値は舌根部より舌尖部で低いです。また、軟口蓋の閾値は舌尖部より低いとされています。加齢に伴い味覚の閾値は上昇します。閾値上昇は軟口蓋で著しく、葉状乳頭ではわずかであるとされています。また、どの年齢層でも女性の方が男性より低い閾値を示します。味覚は順応が早いために、食物が舌の同一場所にあると味の強さが次第に弱くなります。舌運動をおこなって食物を移動させるのは、このような順応を小さくする効果があります。

味覚障害を主訴とする疾患は、味蕾に直接影響を及ぼす口腔内の上皮性病変が主体となります。舌苔、舌炎、口蓋扁桃炎、三者神経障害、などです。唾液分泌不足や血清亜鉛欠乏などの全身性疾患でも味覚障害がおこります。味覚異常の検査には、電気味覚計がよく用いられます。舌電極を陽極としたときは酸味を、陰極としたときはアルカリ味または苦味に近い感覚を生じます。

味覚器は味蕾とよばれ、この中に味細胞があります。味蕾は舌だけでなく、軟口蓋、口蓋垂、咽頭、喉頭にも分布しますが、大部分は舌面にある3種類の乳頭に存在します。茸状乳頭は舌の前方2/3野に分布し、味蕾は乳頭の表面にあります。葉状乳頭は舌の後方側縁の平行に切れ込んだひだに沿って並び、その後方野には8~12個の有郭乳頭があります。この乳頭は円形で深い溝に囲まれ、直径も3mmくらいあります。味蕾は葉状乳頭と同様、側溝に面しています。舌にはこのほかの糸状乳頭がありますが、これみは味蕾がありません。ヒトの舌全体にある味蕾の数は平均5,235個で、そのうち30%(1,600個)が茸状乳頭に、28%(1,480個)が葉状乳頭に、残りの42%(2250個)が有郭乳頭に分布しています。茸状乳頭にある味蕾密度は舌尖部が舌中央部の4.6倍と高く、食品の味の質と量の分析に役立っていると考えられています。一つの味蕾は長さ約70μm、幅約40μmあり、味細胞(3型細胞)、支持細胞(1型および2型細胞)と基底細胞(4型)からなっています。味細胞は微腺毛を舌面向かって出し、細部底部では進入する味細胞腺維とシプナスをつくります。味細胞は支配神経が切断されると直ちに変性を始め、神経が再生すると新生します。味細胞は平均10.5日の間隔で新しい細胞と交替します。

味覚情報の主な流れは、味蕾から発して、一次味覚神経線維を通り、脳幹へ入り、視床に向かって上行して、最後に大脳皮質に到達します。一次味覚神経線維は3つの脳神経を通り、味覚情報を脳へと運びます。舌の前2/3と口蓋からは鼓索神経に神経が伸びています。鼓索神経は第7脳神経である顔面神経の分枝です。舌の1/3には第9脳神経である舌咽神経が分布します。声門や喉頭蓋、咽頭を含む咽頭部からは第10脳神経である迷走神経の分枝に味覚神経線維が送られます。これらの脳神経は他の様々な感覚や運動の機能にも関与するが、味覚線維は全て脳幹に入り、1つに束ねられそして延髄の孤束核の一部である細い形をした味覚核でシナプスを形成します。

味覚経路は味覚核を出た後に分岐します。味覚の意識的な体験は大脳皮質を介して起こるといわれています。視床を介する新皮質への経路は、他の感覚経路と共通している。味覚核のニューロンは後内側腹側核(VPM)の小型ニューロンの一群とシナプスを形成します。VPMは頭部からの感覚情報を処理する視床の部位です。VPMの味覚ニューロンは次に一次味覚野(ブロードマン36野と皮質の島 弁蓋部に相当する)に軸索を伸ばします。視床および皮質への味覚経路は基本的に元の脳神経と同側です。例えば脳卒中の結果生じる、視床のVPMや味覚野の障害は無味覚症、すなわち同側の味覚の喪失を引き起こします。

味覚は、摂食や消化のコントロールなど基本的な行動に重要です。摂食や消化には、付加的な味覚経路が関与しています。味覚核の細胞は脳幹のさまざまな領域に投射しています。特に延髄にある、嚥下、唾液分泌、吐き気、嘔吐、そして消化や呼吸などの基本的生理機能に関わる領野に投射します。加えて、味覚情報は視床下部や終脳基底部の関連領域にも送られます。これらの食物はおいしさや摂食意欲に関与すると考えられています。視床下部や扁桃体、終脳基底部の一部に限局した障害を与えた動物では、慢性的な過食、食物の無視、嗜好の変化などがみられるようになります。

平衡感覚・力の発生・異物の排除