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スピリチュアルペイン

Spiritualとは、人間として生きることに関連した経験的一側面であり、身体的、心理的、社会的因子を包含した人間の”生”の全体を構成する一因として見ることができ、生きている意味や目的についての関心や懸念に関わっていることが多い。特に人生の終末にに近づいた人にとっては、自らを許すこと、他の人々との和解、価値の確認などと関連していることが多い。(WHO)

 

1998年にWHOは健康の定義に「Spiritual」を追加しようという議論がありました。

日本語でいうと「」という言葉が一番近いのではないかと考えられています。

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がんによる死亡が死因の第1位となった1981年以降、日本にホスピスケア/緩和医療が導入され、「がん患者の痛みからの解放、生命の質の向上」が叫ばれるようになりました。しかし、医師が直面する死の臨床では終末期がん患者は身体的な苦悩のみならず、心理的、、社会的、様々な苦痛があります。そこにはそれらに混在して、必ずスピリチュアルペインSpiritualpain生の無意味、無価値、空虚)と呼ばれる苦痛が存在します。おそらく全ての終末期がん患者に共通するのは「死」の苦しみです。死の与える苦しみとは

、自己の存在と意味の消滅です。そこから生じる生の無意味、無価値、空虚といった苦痛(スピリチュアルペイン)です。また、

がん患者のみではなく、うつ病やPTSDなど様々な精神症状の奥にスピリチュアルペインが存在します。

 

スピリチュアルペインの言葉を終末期がん患者の意識に当てて分類すると、時間性、関係性、自律性の3つの柱が見えてきます。

 

存在を支える3つの柱

1時間存在

「人間は過去に経験した様々な出来事を通して、将来への希望・目標に向けて、今を生きている存在である。」

死が近づき、将来を失うことにより、スピリチュアルペインが生じる。

 

2関係存在

「人の存在は他者から与えられる。生の存在と意味の成立には他者との関係が必要である。」

死が近づくことによって、他者や世界との関係の断絶をおもい、自己の存在と生きる意味を失うことにより、スピリチュアルペインが生じる。

 

3自律存在

「人間は自己決定できる自由が与えられている存在である。日常の生の自律概念は自律と生産性に支えられている。」

死の接近によって、自律と生産性を失うことにより、スピリチュアルペインが生じる。

 

これらの存在の意味を支えていた、時間性、関係性、自律性のいずれかの柱が失われることに由来する苦悩をスピリチュアルペインと言います。

 

スピリチュアルケアの指針

時間存在→死をも超えた将来を見出す→新たな現在の意味の回復

 

関係存在→死をも超えた他者を見出す→その他者から自己の存在意味を与えられる

 

自律存在→自己決定できる自由があることを知る→自律による価値観と生きる意味の回復

(身体に依存しないスピリチュアルな自己の覚知)

 

スピリチュアルケアの方法

傾聴共感ともにいることが重要。

 

援助的コミュニュケーションの原理

1サインをメッセージとして受け取る

2メッセージを言語化する

3言語化したメッセージを返す(反復する)

4相手の思いを明確化する(問いかけ)

 

数値化できないスピリチュアルペインのアセスメント

1患者の感情が何かを洞察する

2患者の考えが何かを分析する

3患者の価値観、信念が何かを分析する

4スピリチュアリティーを特定し、スピリチュアルペインを識別する。この人の生きる原動力は何か知る

5患者に対する共感、需要の道を開く

 

患者の感情に寄り添っていくケアの中で、自分の感情を洞察する。援助者自身の価値観(臨床理念、死生観、人生観、宗教観)患者の問題に対してどのように関わりたいか、関わるべきか、臨床の視点がつくられる。介入することのより、気持ちが整理される。自己覚知され、患者の考え方や行動が変化することがある。

 

スピリチュアルケアは、これまでにチャプレンや看取り専門の僧侶など宗教者の専門職とされてきましたが、死の臨床に携わる医療職全体に求められるようになってきています。

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