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抗菌薬の適正使用を考える

歯科衛生士 歯科用顕微鏡

抗菌薬の適正使用とは何か…
1 薬剤耐性菌を増やさない
2 個人の健康を守る、健康を損なわない(例えば、抗菌薬で腸の細菌叢も死滅することによる腸内細菌の乱れが全身疾患の原因になる)

人間の防御機構とは…
人間の最大の防衛機構は皮膚である。常在菌も存在する。皮膚のバリアが低い乳児、熱傷による火傷、皮膚疾患を持っている人、術後、カテーテルを入れている患者は感染のリスクが高い。

リスクとは…
リスクには両面性がある。A or Bどちらを選んでもリスクはゼロにはならない。どっちのリスクがマシなのかを考える。

抗菌薬の歴史とは…
抗菌薬が発見されたのは100年ちょっと前。ペニシリンはまだ100年経っていません。第二次世界大戦後が抗菌薬時代といわれ、患者が抗菌薬でみるみる治っていった。患者から排出した尿を精製してまた抗菌薬を作っていた。それほど貴重なものであった。しかし、1950年代からペニシリン耐性菌の出現が始まる。日本ではドイツから抗菌薬を輸入していたが国内で製造するようになった。国内で製造するようになったため大量生産が可能となり、軽傷の患者にも抗菌薬を処方するようになった。いま症状がなくても予防的に処方するようになった。しかし、 念のための抗菌薬の処方は無いと考えた方がいい。ヘルシンキ宣言にもあるように、患者さんには利益だけをリスクは与えてはならないとあるように、念のための抗菌薬の処方はリスクの方が高くなると考えられている。

歯科治療における抗菌薬とは…
歯科での外科処置後の抗菌薬の投与は全く効果がないとされている。利益はゼロといえる。ただし、心臓に疾患のある人には術前の抗菌薬の処方は効果がある。術前に抗菌薬時代を飲むことにより、血中の濃度を高め、予防が可能になる。口腔内は細菌だらけである。歯磨きで出血することにより、10%くらいは菌血症になっている。しかし、私たち体には免疫細胞があるので健康な人であれば10分もあれば死滅する。このように歯磨きで健康な人は病気にはならない。アメリカでは心内膜炎のリスクが高い人への術前投与、イギリスでは弁逆流の患者への術前投与も推奨している。

セファロスポリンについて…
セフェム系抗菌薬は開発した時期によって第1世代から第5世代に分類される。この中で第3世代のフロモックス®はほとんど腸管で吸収されないことがわかったので処方する意味がないとされている。血中濃度が保てないので効果がない。第1世代のセファレキシン等は90%腸管で吸収される。口腔内細菌に関してはペニシリンでほとんど死滅する。また、ペニシリン、セフェム系どちらも使うことができない場合は他の抗菌薬を選択する。マクロライド系抗菌薬はマイコプラズマ肺炎球菌にたいして耐性を持ってしまった。(また、マクロライドの使用により心臓疾患の死亡率が増加したという研究データがある。)抗菌薬の使用をやめると耐性菌が減少する可能性が大いにある。今の時期に抗菌薬の不適切な使用を控えることで、私たちの子供や孫の時代にも細菌と戦える抗菌薬を残しておくことができるかもしれない。2020年の東京オリンピックでは、外国人観光客の増加によりリスクはさらに高くなると予想される。厚労省からは抗菌薬のキノロン系、マクロライド系、セフェム系の使用量を今の半分にするようにと通達がでている。つまり、いま処方されていり、50%は抗菌薬が正しく使われていないといえる。

とはいえ、人間は一人一人違う。全く同じ人間はいない。エビデンスや製薬メーカーの添付文書が全てではない。目の前にいる患者をしっかり診て、その人に1番いい医療を提供できる医療人にならなくてはならない。